2019.07.09
平成30年7月6日、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立しました。
今回の民法改正において相続法では、高齢化が進展するなど社会経済情勢の変化に対応するため、残された配偶者の生活に配慮し、配偶者の居住の権利を保護するための方策等が定められています。
このほかにも、遺言の利用を促進し相続をめぐる紛争を防止するため、自筆証書遺言の方式を緩和するなど多岐にわたる改正項目を盛り込んでおります。
配偶者の居住権保護のための権利は、遺産分割が終了するまでの間といった短期間に限り保護する権利「配偶者短期居住権」と、配偶者が長期間、居住建物を使用や収益できる権利「配偶者居住権」とに分かれています。
●2020年4月1日より施行
配偶者 短期居住権 | ・配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で住んでいた場合 ・その建物を無償で使用する権利「配偶者短期居住権」を取得 ・期間 ① 配偶者がその建物の遺産分割に関与する場合 ・建物の帰属が確定する日までの間(最低6か月間は保障) ② その建物が第三者に遺贈された場合,配偶者が相続放棄をした場合 ・建物の所有者から消滅請求を受けてから6か月 |
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配偶者居住権 | ・配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として ・終身又は一定期間 ・配偶者に建物の使用や収益を認めることを内容とする権利「配偶者居 住権」を新設 ・取得方法 ① 遺産分割 ② 被相続人の遺言等 ・価値評価(簡易な評価方法による考え方) 配偶者居住権の価値=建物敷地の現在価値-負担付所有権の価値(注) (注)建物の耐用年数,築年数,法定利率等を考慮し配偶者居住 権の負担が消滅した時点の建物敷地の価値を算定した上、 これを現在価値に引き直して求める |
・婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が他方に対し ・居住の用の建物又はその敷地(居住用不動産)を遺贈又は贈与した場合 ・持戻し免除の意思表示があったものと推定 ・遺産分割においては、原則として持ち戻し計算は不要 (特別受益を受けたものとして取り扱わなくてよい) |
小口な預貯金の 払戻し | ・家庭裁判所の判断なし 【計算式】 |
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保全処分の 要件緩和 | ・預貯金につき仮払いの必要性があると認められる場合 ・他の共同相続人の利益を害しない限り ・家庭裁判所の判断で仮払いが認められる |
・遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合 ・共同相続人全員の同意により (共同相続人が財産処分をした場合、その共同相続人の同意は不要) ・その処分された財産を遺産分割の対象に含めることができる |
●2019年1月13日より施行
・全文の自書を要求している現行の自筆証書遺言の方式を緩和 ・自筆証書遺言に添付する財産目録については自書でなくてもよい 【財産目録例】 ・パソコン等で作成した目録 ・銀行通帳のコピー ・財産目録の各頁に署名押印することが必要 |
・遺言執行者の一般的な権限として,遺言執行者がその権限内において遺言執行者で あることを示してした行為は相続人に対し直接にその効力を生ずることを明文化 ・特定遺贈又は特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言のうち,遺産分割方 法の指定として特定の財産の承継が定められたもの)がされた場合、遺言執行者の 権限等を明確化。 |
・遺留分に関する権利の行使によって ・当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し ・遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにする。 |
・遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が ・金銭を直ちには準備できない場合 ・受遺者等は裁判所に対し ・金銭債務の支払につき期限の許与を求めることができる。 |
・特定財産承継遺言等により承継された財産について ・登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされている現行法の規律 を見直し ・法定相続分を超える部分の承継については,登記等の対抗要件を備えなければ第三者 に対抗することができないことにする |
・相続人以外の被相続人の親族が ・無償で被相続人の療養看護等を行った場合 ・一定の要件の下で ・相続人に対して金銭請求をすることができるようにする。 |
項目 | 施行期日 |
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原則的な施行期日 | 2019年7月1日 |
自筆証書遺言の方式緩和 | 2019年1月13日 |
配偶者の居住権を保護するための方策 | 2020年4月1日 |
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